今回の「メガネColumn」は、サーモントタイプフレームの智(テンプルへと繋がる張り出し部分)が折れてしまった眼修理理のお話。
眼鏡にとどまらず、それを愛用していた時間の分だけモノには想いが詰まっていますよね。
今は使わなくなったけど、大切に取っておきたいモノが一つはあるはず。
今回は顧客様のお子様が、みなぎるチカラでフレームを広げた際に折れてしまったとのことでした。
まずは折れてしまった部分の断面、双方に専用の溶剤を塗り表面を少し溶かし、ピッタリ合わせます。
このまま一日しっかりと乾燥させます。
乾燥後は"それなり"にくっついていますが、このままでは強度が足りません。
眼鏡の装脱の際に負荷がかかる場所なので補強が必要なのです。
補強するためのパーツをクリアのアセテート生地板でつくります。
今回は"智"の部分に被せられるようなパーツをつくりたいので削りだしてみました。
被せた時に約2mmの肉厚で補強できるように厚みを持たせました。
では、修理箇所にパーツを被せ接着します。
被せられる"智"の表面と被せるパーツの内側に先に溶剤を塗り、少し時間を置きます。
生地の表面を少し溶けた頃にパーツを被せます。
しっかり密着・固定するようにフレームとパーツを専用の道具で挟み、十分に乾燥させます。
*写真を撮るのを忘れてしまいましたw
1日乾燥させた後、表面削り輪郭をキレイに整えていきます。
カタチを整え、表面を綺麗に磨いたら修理は完了です。
先に「2mmの肉厚で補強する」としていましたが、違和感のないように"智"部分のカタチを整えた結果、補強パーツは約1mmの肉厚が残りました。
御依頼くださった顧客様は、複数本をご愛用なさっているので、この修理メガネを予備的に使用されるとのこと。
と、いうことでご使用には耐えうる強度で補強修理が出来たと思います。
ここで御紹介した修理内容は、現在 当店で料金を頂戴する「修理メニュー」としてお受けしていません。
ワタクシが、修理・補修の技術を磨いている段階なので、眼鏡をご購入くださった御客様へのサービスとして実施した内容を、修理例としてご紹介しました。
過去の修理記事も是非ご覧ください。
修理内容によりますが、通常はパーツ交換や修理工場でお直しする方法を選択しています。(それらは有料修理です)
“ こんな補修・修理の手業も持っています “
という店主が、御客様がご購入くださった眼鏡に対して、責任をもってしっかりとアフターケア・メンテナンスサポートを致します。
皆様の暮らしを支える大切な眼鏡。
お受け取りいただいた日から御客様と当店、私との 長いお付き合いがはじまります。
透明石膏を意味する『Selenite』
今回のコンセプト“ 石膏像 ”と透明な気持ちで仕事をしたいという想いからこのブランド名にしました。
Concept 『gypsum statue 』『石膏像 』(せっこうぞう) それぞれのモデルごとの
「石膏像の人物達が着用するならこの眼鏡」をイメージしデザイン。
世界のあらゆる時代の英雄や人物を立体的に表現されている石膏像。
古代ギリシャや各時代に生きた人物たちが眼鏡に出会う事ができたのであれば、
きっとSeleniteの作品の眼鏡を着用しただろう。
Seleniteの作品名は、モデルとした石膏像の名前をつけました。
公式コンセプトより
『Texture and craftsmanship 』(質感と職人技術)
限られた素材の質感や時代とともに進化した職人技術 Celluloid:セルロイドは
眼鏡にとって素晴らしい素材である
独特の艶は他の素材では表現できない
しかし、Seleniteは、その素晴らしいセルロイドの艶を石膏像の面取り像を表現するために艶を削り落とす
新たな表現方法とデザイン
眼鏡職人の技術で、荒々しく面取りしていく
Titanium:今では、ごく当たり前に眼鏡に採用されているチタン材
昔、眼鏡の聖地鯖江では、チタン材は航空宇宙用など極一部に使われているだけの特別な合金材料を
試行錯誤し、眼鏡に採用を行った素晴らしい先人がいました
その方に敬意を払いつつも、Seleniteは、素材の軽い、強い、錆びない、溶けない
の素晴らしさを保ちつつ、 内側に閉じ込め、シュリンク技術で石膏像の質感を表現
公式コンセプトより
2023年のデビュー以来、謎めいた存在と共に唯一の世界観を持つ優れた眼鏡フレームを生み出し続けています。
全てのパーツが専用設計で作られ、究極まで研ぎ澄まされたデザインと造形は上質感に溢れる素晴らしいもの。
熱による素材の収縮など他にはないシュリンク加工を施し、チタン材が今までにない質感で表現されています。
軽くしなやかなチタンフレームが、貫禄と重厚感がただよう豪華な仕上りに。
カッティングと表面処理、スモールパーツが演出するアセテートフレームの美しさ。
アセテート素材が持つ艶をあえて削ぎ、引き算による表現が追求されています。
ドビュッシーの「芸術とは最も美しい嘘である」から引用された「嘘と芸術」の文字が刻印されたノーズパット。
フレームを支えるための形状とサイズは必要十分で、鼻元にあって目立ち過ぎないよう仕上げられています。
全ての個体にシリアルナンバーが刻まれた特別な製品。
期間中、芸術的な手法で生み出される素晴らしいselenite(セレナイト)の眼鏡フレームが、最新作を含め約50本揃います。
それぞれが希少な美しきフレームを、是非ともご覧になりにいらしてください。
Selenite TRUNKSHOW - Seleniteの世界 -
日時 : 2025年11月1日(土)~ 3日(月・祝)
場所 : 眼鏡と、
内容:展示即売会
ニシダ