11月18日、filton(フィルトン)デザイナーの田邉氏が案内してくださり、filton(フィルトン)のアセテートフレームの製造工場、そしてメタルフレームのリム(縁)が製造されている工場、そして組み立てを担っている工場の3社を見学してきました。
鯖江を訪れるのは約十数年ぶり、とても楽しい1日を過ごせました。
撮影NGの製造過程も多々ありますので、写真も少なく簡単なご報告にはなりますがご覧ください。
電車旅は久しぶり。
乗り物全般、乗ると嬉しくなります。
一路、新大阪から鯖江に向けて出発。
今回、アレ?と思ったことが。
昔、鯖江に行ったときにはサンダーバードに乗れば鯖江で降りるだけだったと記憶していましたが、敦賀から普通電車に乗り換えなければ行けませんでした。
北陸新幹線開通に伴ったことだったんですね...今回初めて知りました。
西から鯖江に向かうには不便になりましたね。
さて、最初にお邪魔したのはアセテートフレームの製造を担っている工場様。
アセテート生地の切削から組み立てまで1本組み上げられる設備を備えています。
フレームの磨き工程の写真。
艶出しにも人の手、機械と幾つかを工程を経て仕上げられます。
1本1本、人の手が加わることで一層美しく仕上がります。
機械による艶出しは、工場ごとに知識や考え・方法が異なっており、仕上がりの美しさも様々なのだと感じました。
また、アセテートフレームの造形はとても奥が深いものです。
特に、エッヂの立て方や丸みの出し方にもいくつもの方法があることを知りました。
狙って出した丸み。
偶然に出た丸み。
こんな経験から、いくつもの方法が確立されたとのこと。
さらに、最新の切削機械が精度高く削り出す複雑なフレーム枠。
技術と経験値に裏打ちされた組み立て工程の数々。
ずっと見ていたい作業の現場でした。
デザイナー毎、それぞれが持つ感覚的な仕上りイメージにこたえられることが鯖江の技術。
図面通りに精度だけを追求した製品は他国でもできる、それ以上の“モノづくり”が産地鯖江の真骨頂なのだと再認識しました。
次に、メタルフレームのリム(縁)を専門に製造している工場様へ。
こちらでは、様々なブランドの専用リムが製造されていました。
6mm、8mm等の様々なワイヤー線を依頼されたリムに仕上げます。
「リム工場01」動画では、素材のワイヤー線を製品としての太さまで加工する機械。
ローラーを通すことで少しづつ細く加工されてゆきます。
その回数、多くて30回程度とのこと。
「リム工場02」動画の中、中央で回る上下のローラーサイズを変えながら、規定の細さに加工されるのです。
熱除去のためのオイルがタップリ。
図面どおりのサイズと模様や造形が与えられ完成したリムを、玉型に加工する機械が「リム工場03」動画です。
画面左側、数百メートル巻かれたロールから送りだされたリムが玉型どおりにクルクルっと加工され、ひとつひとつカットされる様、これもずっと見てられます。
今まで、多くのブランドの難関な要望を解決し製品化してきた職人さんが担当されていました。
リムの製造現場を見るのは初めてだったので、どの工程も関心してばかり。
小さなパーツに宿る魂、しかと見届けましたぞ。
最後に、filton(フィルトン)メタルフレームの仕上げ工程や組み立てを行う工場様へ。
各パーツの艶出しや細かな仕上げを担う場所。
僕自身、興味があった「割り智」の加工を見せていただきました。
レンズ脱着の為、リムは分かれるようになっています。
中でも「割り智」は画像で見ていただくような構造です。
フロント枠とテンプルを繋ぐ堅牢なパーツそのものが割れるようになっています。
製品では割れている「智」ですが、パーツの段階ではひとつの塊。
それを専用の機械でカットします。
画像ではちょっとわかりにくいですが、枠を固定し「智」を二つにカット。
カットするにも速度とチカラのバランス次第で、カット面の仕上りの良し悪しが決まる、とても繊細な工程です。
3工場を巡った今回の工場見学。
filton(フィルトン)製品が生まれる現場を見ることが出来、一層商品への愛が高まりました。
また、独自の進化・深化を遂げる産地福井の強みと、そこで生み出される製品の素晴らしさを知ることが出来ました。
ここでは簡単なご紹介となりましたが、店頭でのご説明ではfilton(フィルトン)製品の魅力を存分にお伝えいたします。
現在、開催中の「filton TRUNKSHOW(フィルトン トランクショウ)」では、いつも店頭にない商品数を揃えております。
是非、実際に見て掛けてお確かめくださいませ。
ニシダ
透明石膏を意味する『Selenite』
今回のコンセプト“ 石膏像 ”と透明な気持ちで仕事をしたいという想いからこのブランド名にしました。
Concept 『gypsum statue 』『石膏像 』(せっこうぞう) それぞれのモデルごとの
「石膏像の人物達が着用するならこの眼鏡」をイメージしデザイン。
世界のあらゆる時代の英雄や人物を立体的に表現されている石膏像。
古代ギリシャや各時代に生きた人物たちが眼鏡に出会う事ができたのであれば、
きっとSeleniteの作品の眼鏡を着用しただろう。
Seleniteの作品名は、モデルとした石膏像の名前をつけました。
公式コンセプトより
『Texture and craftsmanship 』(質感と職人技術)
限られた素材の質感や時代とともに進化した職人技術 Celluloid:セルロイドは
眼鏡にとって素晴らしい素材である
独特の艶は他の素材では表現できない
しかし、Seleniteは、その素晴らしいセルロイドの艶を石膏像の面取り像を表現するために艶を削り落とす
新たな表現方法とデザイン
眼鏡職人の技術で、荒々しく面取りしていく
Titanium:今では、ごく当たり前に眼鏡に採用されているチタン材
昔、眼鏡の聖地鯖江では、チタン材は航空宇宙用など極一部に使われているだけの特別な合金材料を
試行錯誤し、眼鏡に採用を行った素晴らしい先人がいました
その方に敬意を払いつつも、Seleniteは、素材の軽い、強い、錆びない、溶けない
の素晴らしさを保ちつつ、 内側に閉じ込め、シュリンク技術で石膏像の質感を表現
公式コンセプトより
2023年のデビュー以来、謎めいた存在と共に唯一の世界観を持つ優れた眼鏡フレームを生み出し続けています。
全てのパーツが専用設計で作られ、究極まで研ぎ澄まされたデザインと造形は上質感に溢れる素晴らしいもの。
熱による素材の収縮など他にはないシュリンク加工を施し、チタン材が今までにない質感で表現されています。
軽くしなやかなチタンフレームが、貫禄と重厚感がただよう豪華な仕上りに。
カッティングと表面処理、スモールパーツが演出するアセテートフレームの美しさ。
アセテート素材が持つ艶をあえて削ぎ、引き算による表現が追求されています。
ドビュッシーの「芸術とは最も美しい嘘である」から引用された「嘘と芸術」の文字が刻印されたノーズパット。
フレームを支えるための形状とサイズは必要十分で、鼻元にあって目立ち過ぎないよう仕上げられています。
全ての個体にシリアルナンバーが刻まれた特別な製品。
期間中、芸術的な手法で生み出される素晴らしいselenite(セレナイト)の眼鏡フレームが、最新作を含め約50本揃います。
それぞれが希少な美しきフレームを、是非ともご覧になりにいらしてください。
Selenite TRUNKSHOW - Seleniteの世界 -
日時 : 2025年11月1日(土)~ 3日(月・祝)
場所 : 眼鏡と、
内容:展示即売会
ニシダ